鬼ヶ城跡
暑さもやわらぎ、徐々に秋の気配が感じられるようになった9月上旬、国指定史跡「鬼ヶ城跡」へ行きました。
【鬼ヶ城の概要】(若桜鬼ヶ城跡パンフレットより抜粋)
若桜宿の南側にそびえる鶴尾山(標高452m)に築かれた鬼ヶ城は、播磨・但馬両国に通じる街道の結節点に位置しており、元和3年(1617年)に一国一城令によって廃城されるまでは因幡の重要拠点として栄えました。
戦国期は尼子・毛利・織田などの有力大名がこの地を巡って、激しい攻防を繰り広げ、羽柴秀吉による因幡平定後は木下氏、山崎氏と城主が代わりました。
現在も本丸、二の丸、三の丸などに石垣が残っており、廃城となった際に石垣が壊された状態がそのまま遺存しています。一国一城令(※1)による破城の様子を今に伝える貴重な遺構として認められ、平成20年(2008年)に国史跡に指定されました。
※1 一国(この場合の「国」は令制国でもあり、大名の領国(後の藩)のことでもある)に大名が居住あるいは政庁
とする一つの城郭を残してその他の城はすべて廃城にするというもの。

廃城後の鬼ヶ城の絵図(出典:若桜鬼ヶ城跡パンフレット)
【鬼ヶ城跡へのルート案内】
「鬼ヶ城跡」へ行くには3つのルートがありますのでご紹介します。
①古城ルート(所要時間:徒歩30~40分)
第1町民体育館裏の登山口から徒歩で登るルートです。
登山を楽しみたいという方、景色を見ながらゆっくり登りたいという方におすすめです。
②八幡山(はちまんさん)ルート(所要時間:徒歩30~40分)
旧若桜小学校グラウンド跡地の登山口から徒歩で登るルートです。
古城ルートと同じく登山コースですが、道中で六角石垣を見ることができます。
③自動車ルート(所要時間:駐車場から城跡まで徒歩15分)
鬼ヶ城跡付近まで車で登るコースです。
気軽に鬼ヶ城跡を訪れたいという方におすすめです。
今回の取材では、自動車ルートで鬼ヶ城跡へ行きました。
案内板に従って林道をしばらく進むと若桜弁財天への道と鬼ヶ城跡へと続く道があります。
砂利がある道からは、歩いて進みますが、鬼ヶ城跡への道のりはもう少し続きます。
駐車場から歩くこと15分、鬼ヶ城跡までたどり着きました。城郭は石垣に囲まれており、石垣に沿って進むとホウズキ段、三の丸、二の丸、本丸と続き、山頂の主郭の南端には天守台を備えています。
![]() 鬼ヶ城跡山頂詳細図 |
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また、山頂部から南北に伸びる尾根の中腹から先端部にかけては、堀切、堅堀が見られ、小規模な曲輪群が構築されています。山頂付近には、この付近で採れる石材を用いた石垣によって、虎口(こぐち)や天守台が築かれています。その構造から前者は戦国時代の山城の遺構で、後者は近世初頭になって新たな築城技術によって構築されたと考えられています。時代を異にする技術によって築城された城郭が、見事に融合している姿をぜひご覧ください。
※電気柵について
鬼ヶ城跡は、現在、史跡保護のため鹿対策の電気柵を設置しています。鬼ヶ城跡を見学される際には、入口部分の電気柵のハンドルフックを外して中へお進みください。また、お帰りの際には電気柵を元に戻していただきますようお願いいたします。